牛削蹄師とは

牛は一般に運動量が少なく、蹄(ひづめ)が伸びすぎるので、定期的に伸びた蹄を切り、その形を整える必要があります。その牛の蹄を切るのが牛削蹄師です。
一昔前までは、馬の装蹄を転用して、労働に従事する牛にも装蹄が行われていましたが、労働から解放された今では削蹄だけが行われています。牛の削蹄は、年に2回程度が一般的ですが、必要に応じてそれ以上の削蹄が必要です。最近では、畜産経営の合理化と生産性の向上がより一層求められていることから、各地の畜産関係団体の協力の下、削蹄を中心としたフットケアの普及啓蒙活動が一段と活発化しています。

どういう人が牛削蹄師の資格取得を目指すの?

牛の牧場で働きたい 牛の牧場では、削蹄や護蹄管理の技術を身につけていると役立つので、認定牛削蹄師の資格を持っていれば、牧場の仕事に就く際には重宝されます。
牛飼い農家の跡継ぎ 多頭飼育の農家では専門の認定牛削蹄師に業務委託するのが一般的ですが、小規模な農家では、コスト削減や牛のこまめな健康管理のために、畜主が自ら削蹄するケースも少なくありません。
牛削蹄の専業者になりたい 牛削蹄は重労働ですが、技術的な面白さや削蹄の大切さに魅力を感じ、あるいは収入の確実性などにひかれて専業者を目指す人もいます。専業者といっても、個人開業の他、大型農場に勤めたり、牛削蹄会社に就職したり、その就業形態はまちまちです。
牛専門の獣医師 特に乳牛では、蹄の病気が頻繁に発生し、牛を専門に治療する獣医師にとって蹄の治療や削蹄は、避けて通れない重要な技術となりつつあります。そこで最近では、牛削蹄の技術を学び、認定資格を取得する獣医師も増えつつあります。

現役牛削蹄師の声

北海道牛削蹄師会機関誌から一部抜粋・改変

氏名 建部 司 出身 北海道名寄市 現住所 北海道名寄市

師匠と私の共通の知人からの紹介で認定牛削蹄師という仕事を知ったのが、認定牛削蹄師を目指したきっかけです。こんな仕事があるのだなと驚いたのですが、私自身、『職人』に憧れていたということもあり、認定牛削蹄師を目指す決意を固めました。
初めの頃は『アンタこの仕事長く続けられるかい~?』と茶化されていた農家さんに『いつの間にか結構仕事ができるようになったね~』といっていただけるようになってきました。
認定牛削蹄師の仕事にやりがいを感じる時は、削蹄技術で蹄病や変形蹄が徐々に快方に向かっている時です。そしてその都度削蹄の大事さを実感しています。
いずれは独立して、『酪農王国北海道にその人あり』といわれるような認定牛削蹄師を目指してがんばっています。

氏名 上岡 淳 出身 北海道北見市 現住所 北海道北見市

実は、この仕事に就くまで認定牛削蹄師という職業があるとは全く知りませんでした。知人から師匠である片山さんを紹介され「やりたいです!!!」と即答し、未知の世界に飛び込みました。
農家とのやり取りのなかで嬉しかったことは、畜主に「お前、顔に似合わずきちんとした仕事するよな!」っていわれたことかな・・・。これからもっともっと畜主とのコミュニケーションを取っていきたいと思います。やりがいを感じる瞬間は、蹄病の牛が削蹄と蹄病処置したことで、痛がらなくなった時ですね。
失敗談も沢山あるのですが、認定牛削蹄師は定年のない仕事です。何十年後もケガも病気もしないで、この仕事を続けていられることを、今は願っています。