Q&A

装蹄 Q&A

装蹄の目的とは何ですか?

そもそも装蹄という技術は、輸送手段として長距離を歩く馬の蹄が過剰に摩滅するのを防ぐために、およそ2500~2600年前にヨーロッパで発明されたと言われています。もちろん今でも装蹄は、蹄の保護を目的として行われていますが、現代では、アスリートとして活躍する馬達が圧倒的に多いため、より運動に適した肢蹄の状態を造り出すための技術として注目されています。他にも、肢勢の矯正や、治療の補助を目的として、特殊な装蹄が施されることも少なくありません。

競走馬と乗用馬では使う蹄鉄が異なるのですか?

競走馬ではアルミニウム合金製の蹄鉄を、乗用馬では鉄製の蹄鉄を使うのが一般的です。アルミニウム合金製の蹄鉄は、摩滅しやすい反面、とても軽いという特徴があります。一方、鉄製の蹄鉄はアルミニウム合金製のものに比べて重くはありますが、対摩耗性に優れています。

蹄鉄を打ち変える(改装)期間の目安は?

アルミニウム合金製の蹄鉄は、摩滅しやすいため、2~3週間ごとに改装するのが一般的です。一方、鉄製の蹄鉄を一般的に用いる乗用馬では、1月~1月半ごとの改装が目安になります。
ただし、馬によっては蹄鉄の摩耗が強い場合もあるため、改装期間を短くしなければならない事もあります。また、蹄鉄が摩耗していないからと言って、改装期間を延ばす事は推奨できません。蹄鉄が磨り減らなくても、蹄は日々生長するので、定期的に改装し、伸び過ぎた角質を整形する必要があります。馬の下肢部の構造上、蹄が伸びた状態では、関節や筋肉、腱、靱帯にトラブルを引き起こす可能性が高くなります。

蹄と敷料の関係は?

蹄はタンパク質を主体とするため、アルカリに弱い性質を持っています。敷料が馬の尿を多量に含んでいる場合、尿に含まれるアンモニア(アルカリ性)によって、蹄角質が劣化しやすくなります。また、蹄は水分を多く含むと軟化し、変形を引き起こしやすくなるうえ、細菌や真菌に腐食されやすくなります。健康な蹄を維持するためには、馬が普段生活する馬房内の敷料を清潔かつ、ほどよく乾燥した状態に保つ事が重要です。馬に使用する敷料としては、アンモニアが揮発しやすく、蹄の裏にも詰まりにくい稲ワラや麦ワラが適しているとされています。

馬の肢蹄を管理するうえでの注意点や方法は?

何よりも、よく観察し、異常やトラブルを早期に発見することが大切です。 蹄は常に地面と接しているため、汚れがつきやすい環境におかれています。そのため、ぱっと見ただけでは、蹄のトラブルに気付かない事も少なくありません。トラブルの早期発見のためには、手入れの際はもちろんの事ですが、手入れの時以外にも裏ほりをするなど、頻繁にチェックすることが肝心です。またその際に、蹄や下肢部の温度、関節のむくみや腫れなども一緒にチェックすることが、肢蹄トラブルの早期発見のためにはより効果的です。

蹄は、気候や季節に影響されますか?

影響されます。よく知られているものでは、蹄の固さと生長に対する影響があります。日本のように湿度の高い環境では、蹄の角質が軟らかくなり、時として角質の損傷を引き起こす原因になる場合もあります。また、夏期は蹄の生長が早く、冬期は遅いことも知られています。

装蹄教育センター Q&A

入講するには、どうしたらよいですか?

まず、装蹄教育センターに受験願書を請求するか、このホームページからダウンロードし、本会の定める願書受付期間中にお申し込み下さい。申込み頂いた方には、本会から受験に関する書類をお送りしますので、その内容に従って入講試験を受験していただきます。入講試験合格者には、合格通知と共に、入講に関する資料をお送りしますので、資料に従って入講に必要な手続きを取っていただきます。
詳しくは、「装蹄師になるには」のコーナーをご覧になるか、装蹄教育センター(028-648-0007)までお問い合わせ下さい。

入講試験の内容は?
一般教養試験として、高校卒業程度の知識について出題します。具体的には3種国家公務員試験・初級地方公務員試験とほぼ同等の内容となります。翌日、面接試験と体力試験(簡単な筋力測定)を実施します。※第1回試験で定員に満たない場合に限り、第2回試験を実施します。なお、第2回試験ではすべての試験を同日に行います。
装蹄師認定講習会にかかる費用はどのくらいですか?
装蹄教育センターにお支払いいただく費用は、1年間の受講料84万円、講習実費42万円の計126万円となります。また、寮費として月々おおむね3万円~3万5千円(食費+光熱費)がかかります。 なお、受講料の納入に関しては、2回分割納入制度もあります。
女性でも装蹄師になれますか?
もちろん、なれます。日本で活躍する女性装蹄師の人数は決して多くはありませんが、実際に現場で活動しています。日本に比べて海外では、装蹄師を目指す女性も少なくありません。
寮では自炊できますか?
自炊は出来ません。開講日には一日3食、寮にて食事が出ますが、休講日(基本的には土日祝日)には食事はありませんので、各自で対応して頂くことになります。
寮は個室ですか?
個室です。浴場、洗面所、お手洗い、ランドリーについては共用です。また、上記共用設備については、女性専用の設備も別に完備しています。
部屋に備え付けられているものはありますか?

あらかじめ各部屋に備え付けているものは、ベッド、机、椅子、クローゼット、エアコンです。装蹄教育センターのページにて、講習生の居室を一例として紹介していますので、ご覧下さい。

牛削蹄 Q&A

削蹄はいつすればいいですか?

定期的に削蹄することで、普段は見つけ難い蹄病をより早く発見し、対処することができます。その結果、牛の健全性を向上し、生産性を高め、耐用年数を延長することで畜産経営に大きく貢献します。それには効率的な削蹄を行うことが大切です。たとえば・・・

乳牛 なるべくこまめに削蹄することが推奨されますが、最低でも年2回以上の削蹄をおすすめします。
フリーストール飼育の乳牛 初妊牛の分娩前後に蹄病の要因となる潜在病変と蹄の変形が進行しやすくなりますから、この時期における削蹄の励行は、その牛の将来の健全性を培ううえで特に重要です。
肉牛 生体での長途の輸送が見込まれる出荷の3ヶ月前に削蹄し、輸送中にも安定的な立ち方ができるようにすることが、肉量の減少や肉質の劣化を防止するうえで効果的です。
削蹄の必要な牛はどうやって見分ければ良いですか?

牛の立ち方の異常、特に後肢の顕著な外向きや広踏みは、蹄病の存在を教えるサインです。そのサインをいち早く見つけて、すでに蹄病に罹っている牛だけでなく、蹄病予備軍ともいえる牛についての削蹄を依頼することも重要なポイントです。